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セルフヌード
第2章 美しさという暴力



「パンティ脱いで」

「……、あんまり、見ないで。……」

「見なくちゃ撮れないじゃん」


 何度も、何度も、何度も。


 なつみはシャッターを押す度に、美優の万別の表情を引き出す。彼女にかかれば、美優もブリリアンカットの被写体だ。

 可憐で、エロティックで、妖しく、切ない。


 被写体は美優だ。なかんずく仕上がりの保証はない。

 それなのに、美優は信じきっている。

 なつみのつくり出す世界が、美優から引き出してくれるものが、とても美しいということを。



「…──はぁっ、ぁっ、……」


 なつみがカメラをテーブルに置いた。

 闇をぼかしていた美女が、一歩、一歩と美優に近づく。

「すっごいエロい。デートして、みゆさんを撮れるなんて、私ってラッキー」

「からかわ、ないでぇ。……ぁんっ」


 片腕がにわかに宙に浮いた。手のひらがなつみの指に掬われて、甲に、もう忘れようのない質感が落ちてくる。


 姫君に扮した王子の、敬愛のキス。



「脚、もっと開いて」

「…………」

「もっと」

 美優は目尻に力を込める。上下する胸を諌めながら、太ももを、左右に広げる。

「ぁんっ……」

 乳房に静電気が走った。

 なつみの片手が美優のなだらかな丘を掴むや、たゆんだ力で、敏感な皮脂を揉みしだき出す。

「ぁっ、はぁ、……ダメ……ひぃぅ……」

「良い顔。……片手塞がってなかったら、今の美優を撮りたかったな」

「やぁぁ……胸、さ、らないでぇ」

「何で?」

 くりぃぃっ、と、なつみの指先が乳首を潰した。


 美優の腰が、ぴくぴく泳ぐ。

「全部、見せて。美優の全て。ちゃんと見せて。得意でしょ?……昔撮った写真集より、いやらしく撮ってあげる」



「はぁっ、ぁぁ……なつみ、……」
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