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セルフヌード
第2章 美しさという暴力
「美しいこと」
「っ、……」
「なぁに、怯えた目なんかしちゃって。可愛い貴女に会いに来たのよ。随分な態度じゃない」
「──……」
ぺっ……
女の青みがかった唇が、透明な液を吐き出した。晦冥に透けんばかりのなつみの頰を、とろみを孕んだ瑕疵が打つ。
「っ、……うっ」
年季の入った女の腕が、華奢な女を叩きつける。
骨をくるんだ肉と床の衝突音が、か弱いメゾをかき消した。
なつみの視界の断片に、女のスカートの襞がたゆたう。
女がテーブルに腰かけて、おそらく二回りは若年の女の鼻先に、自身のつま先を突き出す。
「お舐め」
「……はぁっ、……」
「生かしてやってるだけ有難いと思いなさい。そうねぇ、跪いて、また私に懺悔なさい。生きていて申し訳ありません、と。…──私の目を汚して、無礼な態度をとったことを詫びるの。まず靴下を脱がせてもらいましょうか」
「…………」
女の目に苛立ちが灯る。苛立ちが、足先に傲慢を振るわせる。…………
生気を失念したメゾが、女の手本に従った。
戦慄した指先が、正鵠を捕らえるのもままならない塩梅で、女のくるぶしを剥きにかかる。