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セルフヌード
第3章 愛玩
出掛ける支度が整うと、リビングに残していたスマートフォンに、メールが一件届いていた。
差出人は、なつみだ。
美優のブログを公開直後に確かめたこと、セルフヌードに写った痴女を早く生で叱りたいこと、それから、目を通すのも疲れるほどの賛辞が打ち込んであった。
先々週のデート以来、美優はおりふしなつみに従っていた。
あの端麗なカメラマンが、どれだけの女を愛人にしているのかは分からない。
なつみにしてみれば、けだし美優は毛色の変わったアヒルの子。花盛りも過ぎた専業主婦など、芸術家の研究材料にもなるまい。
それでも、美優から離れることは許されなかった。
…──デートくらいで証拠隠滅してもらえるなんて、本気で信じてたの?可愛ーい。
そう言って笑ったなつみは、カラバッジョとフラゴナールのコラボレーションを無償で美優に握らせた。なつみの手許には数枚の焼き増しが残っただけだ。
フィルムは、今、良の目には絶対に触れる怖れのない、生理用品のストックと一緒にクローゼットの奥底に眠っている。
そして美優は暇さえあれば、月のものが下ってもいない日に、収納ケースのファスナーを開く。もちろん良人の目を盗んで。
だが肝心の、例のスマートフォンに押さえられた写真が、美優の日常をおびやかしていた。
あの写真がある限り、美優は奴隷となり続ける。
今日のように、自ら裸体にらくがきをして、ワンピース一枚に裸をくるんで出掛けることも厭えなかった。…………