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セルフヌード
第3章 愛玩







 春空を染める街路樹も、公園を彩る桜花も、優美な豪邸の緑に華やぐ染井吉野には敵わなかった。


 時折、はらりと舞う薄紅。

 白い塀壁のチャイムを押した美優の肩にも、悪戯な薄紅の愛撫が触れ、もの言う花が出てきた途端、春の情緒が濃度を増した。



 美優を見るなり、なつみは極上の贈り物でも配達された少女のように微笑んだ。くっきりした目許に煌めく黒曜石ははにかんだように濡れて、計算高いメゾの声は、いつになく妖しい掠れを含む。

 美しい女はいけすかない。

 さして嬉しくもない状況下でも、最高の自己演出を以て、嬉しそうに繕えるのだ。そうして相手の心を捕らえる。獲物の肉に牙をうずめ、巧みにいじらしく装うのだ。



「もう最高!美優エロいっ。まじ可愛すぎてやばいんだけど。えっ、ちょっと言ってみて?ご主人様って。美優の可愛い声で言って?イクかと思ったー」

「私が変態なんじゃなくて、なつみでしょ」

「私は美優みたいな趣味ないし。それよりほんとにブラしてないんだ。こっちは?」

「ひぅっ」

「夢のワンタッチ挿入可じゃーん」

「ぁっ……ぅっんん……ぁぁぁ……」


 玄関口に滑り込むなり、美優の腕が縫いつけられた。

 なつみの片手が美優の手首を扉に押さえて、利き手が恥丘をじかにまさぐる。

 春風に晒してきた下半身は、なつみの指をすぐに濡らした。



 ちゃぷ……ぴちゃ……くちゅ、くちゅくちゅ…………



「ご自由に使って下さい。……お望み通り、使ってあげる」

「貴女がっ……書けって……あっあっ……あっはぁぁ……んっ」


 底意地悪い指にまとわる円滑液が、美優の陰毛を湿らせる。

 なつみの指と恥丘の縮れ毛がもつれては、美優の自尊心をゆする。じんわりと甘い官能が、総身に駆け巡ってゆく。
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