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セルフヌード
第3章 愛玩
* * * * * * * *
突然の雨だった。
色をなくした碧落は、自ら光を注いだ花までいたぶって、世界を砕く。
「はぁっ……はぁっ……」
インターホンのチャイムを鳴らすと、頭の天辺からつま先まで隙なくめかしこんだ主が出てきた。
「美優っ?!うそっ、傘持たないで……やっぱ電話繋がらなかったのって、どうしよ……っ、とにかく早く」
ブログを投稿して、家を出たところまでは好天だった。それがあと少しというところで極小のしずくに手首を打たれ、俄雨に遭ったのが、三分ほど前のことだ。
美優はなつみにかき抱かれて、玄関口に押し込められた。
「あ、バッグ……待って、スカート絞ってくるから」
「良いよ。乾けば一緒だし。ってか脱げば」
「ここで?」
「慣れっこでしょ」
「…………」
美優はスカートの襞を掴んで、土間でぐずつく。
「もうー、面倒臭いお姫様。恥ずかしくないようにしてあげるから、バッグ、置くよ」
なつみが框を下りた。
長い茶髪を払った腕が、美優にまとわる。
二の腕を引かれてウエストをやおら捕まえられて、凄艶に伏した目許に見つめられながら、美優の呼吸が薄らいでいく。
唇が、今に触れ合おう距離に迫った。
「キス、してい?」
「──……」
ここで首を横に振るくらいなら、初めから、訪ねてこない。