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セルフヌード
第3章 愛玩
見慣れたリビングは、観葉植物とガラス雑貨が十分な間取りを彩り、上品な壁紙がシャンデリア風の照明器具の放つ白い光を弾いていた。
「美優」
風雅な渋みが鼻を掠めた。
「玄米茶。こういうの平気?お風呂、沸かしてきたから。もう少し我慢して」
「良いよ、……」
「冷えてるじゃん。風邪ひいたらどうするの」
「これくらいでひかないわ。私、そんなにやわじゃない」
「寒くない?」
「…………」
美優の心臓に近い半身から、にわかに寒気がひいていった。
なつみに着せられたスプリングコートのジャガードが、尾てい骨にすりつく。たおやかな腕の質感が、美優の背中を震撼させる。
「なつみ、近い。……」
「ダメ?」
「お茶、飲めない」
「飲ませてあげる」
なつみが玄米茶を口に含んだ。指先が美優のおとがいを捕らえるや、唇がしかと被さってきた。
「っ……、っ」
ぬるいか熱いか分からない。玄米の風味も甄別し難い液体が、美優の口内を広がっていった。
受けとめきれなかった液体が、口許を伝う。
美優が嚥下している間、なつみのキスが、おとがいを拭う。
「んっ……ふぅ」
「どう?」
「分からない」
「一口、じゃね」
あっ、と、声を上げかけた時には遅かった。
二口目の玄米茶が、また、流れこんできた。
親鳥に世話されなければ食事もとれない雛のように、美優はなつみに給水される。