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セルフヌード
第3章 愛玩




 なつみの腕が離れていった。

 果てなかったようなぬくもりが、美優を纏縛からとく。


「……、……」

「下着だと、風邪ひくよ。待ってるから、ゆっくり入ってきて」

「──……。あっ、……」


 なつみの消えた扉が閉まった。

 一人、取り残されるとは思わなかった。

 美優のシャワーを浴びているはずの総身が、温度を奪われてゆく。
 生のハーブを浮かべた湯船に浸かりながら、欲しくなるのはなつみの口づけ、彼女の抱擁。良人の眼差しも、指先も、美優を踊らせてきた分身も、記憶が求めようとしない。掠めても、夾雑物としてすぐに消える。

 浴室を出ると真新しい下着と洋服が畳んであった。






「お帰りー。わぁっ、美優やっぱりそういうの似合う!私には敵わないけど、可愛ーいっ。ね、それならエロくもないんだし、撮らせてよ」

「──……」



 なつみの声は、いたいけな若芽を打つ雨だ。美優を人形のように労わって、人形のようにいたぶる。


「……帰る」

「え、……」

「っ…………」

「美優っ?!」

 ポールハンガーからバッグをひったくり、足早に玄関へ突き進む。
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