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セルフヌード
第3章 愛玩


* * * * * * *

「『追いかけられる女と追いかける女』、『ワガママ
は女の武器』、『捨てる男の心理』、『都合のイイ女のつくられ方』、『恋愛タブー30ヶ条』……。…──みーこ、本当に大丈夫?」


 立ち読みという傍迷惑な行為に没頭していた美優の耳が、金槌で殴られたようなショックを受けた。

 万引き犯でも、今しがたの美優ほど気まずい思いはもて余すまい。


 昨日の雨は、片影もない。雨上がり特有の、女の膚にも似通っていた空も、一晩ですっかり機嫌を直し、美優は二日振りに友人の職場を訪っていた。


 女性読者を対象としたエッセイ──…。

 昨日まで表紙もめくらなかった類の書籍の並んだ本棚を、こうも真剣に漁っていたのは初めてだ。


「お疲れ様。はるこ出勤だったんだ。いきなり声かけてこないで、ビックリちゃった」

「うん、私も、ビックリしてるし……」


 はるこが周囲を確かめた。客の姿はどこにもない。

 美優の親しい友人が、声を潜める姿勢をとった。
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