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セルフヌード
第3章 愛玩

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 鹿鳴館時代の名残が強いここら周辺は、いにしえ遠い海の向こうで優雅に暮らしていた令嬢達の散歩道を彷彿とする。

 人里を逸れた草原で、明るい夏服に身を包んだモデル達が、なごやかな休息を過ごしていた。



 ファッション誌の撮影ロケ。


 なつみは午前中の仕事を終えると、今日彼女らのヘアメイクを担当している友人を伴って、移動バスの陰に戻った。


「相変わらずモテるねー。ひとり身の男性陣があんたに妬くの、分かるわ」

「ひがむなら別の人間を呼べば良いのに。編集長、ちょっとしつこかったんだけど」

「あの人はゆかちゃんを気に入ってるから。仕方ないと思うよ。人選だけは個人的な感情で出来ないし。現になつみが撮ったカットは、読者投票でも上位占めるもん」

「モデルとメイクとお洋服が良いからでしょ。私の顔は生まれつき。モテるからって、思い通りにならないことは、ならないよ」

「珍しいこと言うね。何かあった?」


 なつみは花蓮に笑って流すと、草原を望んだ。

 ほど良い冷気を含んだ風が、花達の髪やフリルをそよがせる。
 華奢でなめらかな肌をむき出しにした彼女らは、無邪気に笑いながら花冠をこしらえ、写真を撮り、思い思いに春と戯れていた。
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