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セルフヌード
第3章 愛玩

* * * * * * *



 はるこの書店を出たあとは、どこにも寄らないでまっすぐ帰った。

 掃除を済ませ、洗濯、郵便物の整理をしている内に、もう日暮れだ。



 なつみから連絡はない。

 出逢ってから今日までの間、少なくとも一日一通はメールが届いていた。こうも突き放されたなら、喪失感にも打ちのめされる。



 鳴らない電話。期待外れのメールばかり受信するスマートフォンを、もはや手許にも置いておきたくない。



 戯れにも満たなったのかも知れない。

 なつみをとり巻く白鳥達の群れの中で、美優はさばかり毛色の変わったアヒルだった。


 分かっていたのに思い上がった。


 なつみの引力は狡猾だった。姫君の見目を気取っていながら、その振る舞いはことごとく真逆だ。

 美優でなくても不貞の罪悪にくずおれる。美優の分別が脆弱なのでは決してなかった。

 そう、ことあるごとに美優は自分を正当化して、ついには狡猾な引力の備わるカリスマを試したのだ。


 追いかけてきて欲しかった。美優が彼女を拒んでも、それでも執着していると、捕まえようとして欲しかった。


「…………」


 財布から前日のレシートを抜き取って、一枚一枚畳んでいた途中、ふと、我に返る。



 …──今、何を思った?
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