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セルフヌード
第3章 愛玩
出掛ける支度を整えて、玄関先の扉を開けると、何者かが行く手を阻んだ。
腕がぐいと掴み寄せられ、美優は有無も言わされないで、アパートの裏手に引きずられてゆく。
「っ……」
美優には、自分を駐輪場に引致する女の顔を確かめる必要がない。
この手の感じを知っていた。
美優を強引に遠くへ連れ去ろうとする、不遜な、ゆかしい手のひらを。
「なつみっ……」
「何」
「私、買い物なの……来るなんて聞いてないっ」
「メールがダメなら来るしかないでしょ」
「そういう意味じゃ──…あぅっ」
爽やかなムスクが鼻にまとわりついてきた。星のサシェが宙に遊ぶリアガラスに、パッチワークパフのクッション──…美優はなつみの愛車の後部座席に押し込められるや、羽根のような重みに膝を縫いとめられた。
両手首が持ち上がり、左右連結の手枷が嵌まる。美優の手振りを封じた手枷を繋いだ鎖が、頭上のどこかに固定された。
「っ……何これっ」
薄暗闇の中、美優の膝に跨るのは、極上に臈たけた女だ。
淡いピンク色のリボンだらけのチュニックに、ヴィンテージ加工の施してあるアイボリーのロングパンツ。しなやかな肢体が動く度、首元のクワロフスキーに偏光が滑る。…………