この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
セルフヌード
第4章 光と闇
「っつー……何だテメェ?!……おおっ?!友達?!」
「やっべぇ、かわいー!ねぇ、友達もどう?一緒にお茶しない?合コンしようよ合コン!」
尾てい骨をどつかれて、首根っこから引きずり剥がされた男達──…暇潰し同好会の二人組は第三者に振り返るなり、今しがたの報復などなかった態度で猫撫で声を披露し出した。
美優は、男達以上に、割って入ってきた恩人に目を奪われる。
臈たけた顔かたちに華やかな装い、しなやかな身体の曲線──…なつみの長い茶髪は珍しく耳許で束ねてあって、いつか読んだ塔の中の姫君を思い出す。
美優はなつみに抱き寄せられるや、遅れてごめん、と、甘美なメゾに胸を顫わせた。
「生憎、彼女は私以外に惚れないんだ」
「おっ、気の強い女子良いねぇ」
「お姉さん男嫌いだったの?人妻なんて嘘だったんじゃーん。お友達もいたら安心でしょ、お兄さん達と克服しよ──…」
「いらねぇっつってんだよ!!モテねぇからって他人の女に手出すなよっ、旦那は私。怖がらせないと解んねぇの?!」
「…──!!」
「わぅっ、……くっ」
なつみが男の胸倉を持ち上げたところまでは、美優の視界に捉えられた。
が、次にまばたきを終えた時、少なくとも横幅は彼女の二倍あるがたいの男が、切符売り場の真下にくずおれていた。尻餅をついて、運動場で転んだ子供のように、情けない顔に涙を滲ませている。
「ひぃぃぃ……ごめんなさいごめんなさいっ。おいっ、大丈夫か?」
「…………」
「……やば。美優、逃げよ」
美優はなつみに腕を引かれて、商店街に入っていった。