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セルフヌード
第4章 光と闇


「っつー……何だテメェ?!……おおっ?!友達?!」

「やっべぇ、かわいー!ねぇ、友達もどう?一緒にお茶しない?合コンしようよ合コン!」


 尾てい骨をどつかれて、首根っこから引きずり剥がされた男達──…暇潰し同好会の二人組は第三者に振り返るなり、今しがたの報復などなかった態度で猫撫で声を披露し出した。


 美優は、男達以上に、割って入ってきた恩人に目を奪われる。

 臈たけた顔かたちに華やかな装い、しなやかな身体の曲線──…なつみの長い茶髪は珍しく耳許で束ねてあって、いつか読んだ塔の中の姫君を思い出す。

 美優はなつみに抱き寄せられるや、遅れてごめん、と、甘美なメゾに胸を顫わせた。


「生憎、彼女は私以外に惚れないんだ」

「おっ、気の強い女子良いねぇ」

「お姉さん男嫌いだったの?人妻なんて嘘だったんじゃーん。お友達もいたら安心でしょ、お兄さん達と克服しよ──…」

「いらねぇっつってんだよ!!モテねぇからって他人の女に手出すなよっ、旦那は私。怖がらせないと解んねぇの?!」

「…──!!」

「わぅっ、……くっ」

 なつみが男の胸倉を持ち上げたところまでは、美優の視界に捉えられた。

 が、次にまばたきを終えた時、少なくとも横幅は彼女の二倍あるがたいの男が、切符売り場の真下にくずおれていた。尻餅をついて、運動場で転んだ子供のように、情けない顔に涙を滲ませている。


「ひぃぃぃ……ごめんなさいごめんなさいっ。おいっ、大丈夫か?」

「…………」

「……やば。美優、逃げよ」


 美優はなつみに腕を引かれて、商店街に入っていった。
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