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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第2章 酔芙蓉の簪(かんざし)
 想い出、そう、彼と過ごすこの至福の時間をそろそろ終わらせ、薫子はそれを〝想い出〟としてこれからの気の遠くなるような残りの日々を過ごしていかなければならない。
 声が小さくなった。このまま彼といると、泣いてしまう。薫子は滲んだ涙をまたたきで堪えた。
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