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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第2章 酔芙蓉の簪(かんざし)
 女は恐る恐る男を見た。
「死んでしまったのですか?」
「それは大丈夫です。でも、この先は判りません。頭を強く打っているようだから。とにかく早くにお医者さまに診せてなくては」
 薫子は心配げになりゆきを見守る小間物屋に言った。
「おじさん、この人を家に連れて帰るわ。皆に手を貸して貰えない?」
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