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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第4章 入内の勅命
 今も姉の科白が幾度も耳奥で甦る。葬儀の後、近江がひっそりと訪ねてきて、姉の最後を語り伝えてくれた。
―今わの際まで、二の姫さまをお呼びでした。
 何故、薫子は来てくれないのかと、うわ言のように繰り返す姉に継母はこう言ったそうだ。
―薫子は夕刻、屋敷を出て市井の住まいに戻りました。
 と。
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