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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第5章 真実と恋心
 〝承平〟が眼の前で捕らえられた現場で、薫子は衝撃のあまり、昏倒した。以来、枕も上がらぬ体で高熱が続いている。昨日、帝はついに皇族にしか下賜されぬという唐渡りの妙薬を薫子に対して賜った。が、それを服用してもなお、薫子の熱は下がらないという。
「主上」
 迫力のある声で呼ばれ、帝は頷いた。
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