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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第7章 胸騒ぎの予感
 矢文が射かけられて八日が過ぎた。先頭に立つ通嗣は一度も屋敷に戻らず、内裏に宿直(とのい)していた。誰もが皆、心身共に疲弊しきっていた。八日めが無事過ぎ、九日めになった夜、いよいよあと二晩で髭切が啖呵を切った約束の期限も終わると皆の心に油断が生じていたのを見計らったかのように、髭切は現れた。
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