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これはお仕事です。
第2章 家族
「美和ちゃん?」
暫くの間、黙って俯いていた美和の顔を心配そうに辰治は覗き込んだ。
「たっちゃんさん!私その行為に甘えてもよろしいでしょうか?」
大きな茶色い目を大きく開き、手は握り拳を作っていた。
「ああ!嬉しいよ!!!じゃあ早速明日から引っ越しの手配をしよう!」
「はい、よろしくお願いします!」
2人は微笑み合い、今後の生活に胸を膨らませていた。
いつも慎重な美和の判断は、家族という甘い言葉のせいか、外から見える綺麗な桜の匂いからなのか、思考力を麻痺させていたのかもしれない。
美和の選択は正しいのか。
まだ少し肌寒い外の風は、桜の花びらを巻き込んで吹き荒れていた。