この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
それでも・・愛してる
第8章 比べてみても・・
考えながらコップを片付ける。
キッチンで洗いながらそのため息の理由が何なのか、うっすらとわかった。
うらやましい・・
ほんのちょっとだが、そう思ったのだ。
あんなチャライ格好した若造夫婦だけど、子どもを見る眼差しはキラキラしていた。
どれだけの収入があるのか知らないけど、家族のために家を買って、
幸せな生活を送れる基盤を作ろうとしている。
私よりずっと若いのに。
家庭なんて嘘くさいもの、興味ない・・
あてにならないんだよ・・と必死なくらい自分に言い聞かせていたけど・・
ああいう姿を見たら素直に羨ましいと思う自分がいる・・
洗い物を終えて自分の席に戻る時、杉下さんにさっきの若夫婦の事を聞いてみた。
「ああ、2人とも27歳だって。旦那さんはトラックの運転手だってさ。
頭金は無いし、ローン組むにはギリギリな感じの年収だけど
今どきはみんなそんなもんだからね」