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それでも・・愛してる
第8章 比べてみても・・
「そうなんですか・・余裕ないってことですよね・・
でも家を買おうとするんですか?」
怪訝な顔つきの私に杉下さんは頷く。
「だって、ローン組むなら若いうちじゃないと。
30年とか35年ローンなら30くらいで組まないと、定年むかえちゃうよ」
ああ、そうか、定年までに払い終えるように逆算すればそういうことか・・
でも私の言いたいのはお金の問題だけじゃない。
その家族はローンが終わるまでちゃんと家族でいるのだろうか?
いられるのだろうか?
うちの親たちは・・違うよね。
離婚した時にはまだ現役。ってことは、ローンも残ってたのかなぁ・・
今でも父が独りで住んでいる私達家族の家。
年に三度くらいしか行かない家。
なんのために買った家なんだろう・・
それよりも・・
あんな些細な事で心がこんなにゆらゆらするなんて、思ってもみなかった。
この仕事、余計な事まで考えさせてくれる。
急に・・
陽斗に会いたくなった。