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それでも・・愛してる
第8章 比べてみても・・
縄のれんをくぐると、ほとんどの席をサラリーマンが占めていた。
「へぇ、美鈴も焼き鳥屋なんか来るんだ。かなりイメージが違うんだけどねぇ」
案内された席に座ると、陽斗はビール2つ、と手をあげながら店員に声をかけた。
「イメージねぇ・・そんなの他人が勝手に作り上げるもんでしょ?
ま、そんなことはいいか・・今日はなんか、ガサガサしてる方がいい気分なの」
焼鳥を焼く煙に霞む天井を仰ぎ見ると同時に、威勢のいい声が弾む。
「はいお待ち!美人には増量ね!」
ジョッキを置きながら私の顔をジロジロ見るオヤジに、思わず嫌味を返す。
「増量って、どう見ても同じじゃん!」
言われてひるんだオヤジは陽斗にむかって、
「ご機嫌斜めかい?彼氏、今夜はがんばんないと、ね!」
そう声をかけながら彼の背中を叩いている。
はい、頑張ります!と調子を合わせてる陽斗とオヤジの二人を、交互に睨み付けた。
そして乾杯の合図を待たずに一人、ビールを喉に流し込んだ。