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それでも・・愛してる
第8章 比べてみても・・
この仕事をするまでは、夫婦だとか家族だとかってことに
頻繁に触れることはなかった。
せいぜい姉夫婦の所に遊びに行く時くらい。
でも姉は私の家族だ。思い入れが違う。
店に来る客はただの通りすがり。
表面的にしかその夫婦なり家族なりを想像できない。
この人たちがどんな思いでここまでの生活を築いてきたのかってことを、
知るわけもないのに良く見えたりしてしまう。
・・隣の芝生は青く見える・・
つまりはそういう事。
「私も・・寂しい女、なだけか・・」
クッションを枕にして床に寝そべりながら、体を思いっきり伸ばしてみる。
伸ばした右手の先にあるバッグを引っ張りよせて、
中から携帯電話と取り出すと、陽斗へのメールを打ち始めた。