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それでも・・愛してる
第9章 姉と過ごす休日・・
その様子を見ていたのだろうか。
ホール係の若い男の子がやって来て、すかさず2杯目のビールの注文を取っていった。
「めずらしいわね、みーちゃんが他人を羨むなんて。
いつも羨ましがられてるのにさ。でも・・
いくら綺麗でも独りはさみしいわよ、やっぱり。
誰かが傍にいてくれて、そして自分もその人のために傍にいて何かをしてあげたい・・
そういう相手がいるっていいわよ」
多佳子の頭の中にはもちろん、夫の伸幸と、2人の子供たちの顔がうかんでいるのだろう。
姉も両親の離婚が少なからず引っかかっていたようで、
伸幸の人柄うんぬんよりも、結婚生活自体に不安を抱いていたが、
伸幸がその不安を見事に取り払ってくれた。
義兄は心底姉を愛し、夫婦として家族を作り家庭を築いていくという事に全力を注いだ。
多佳子は、伸幸という男に出会えたことが、幸せに結びついたのだとよく言っていた。
多佳子にとっての伸幸、と同じように、
店にやってきた夫婦たちも皆そう確信して結婚したのだろう。
やがて子供が生まれ家族が増えて・・
なにも深い事考える必要なんかない。
それが幸せってもんだ。
そう単純に考えているだけ。でも・・
それでいいんだ・・・