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それでも・・愛してる
第9章 姉と過ごす休日・・
「他人の幸せそうな姿見てたら、ちょっと羨ましいなって・・思うようになった・・
家を探すってことを通してその家族の幸せの形みたいなものを、
ひしひしと感じるようになったの。あんなに興味なかったのにさ・・」
父の顔、母の顔が順繰りに頭の中を通り過ぎていく。
その下で寄り添っていた私達姉妹。
陽斗の言うように、けっこう傷ついていたのかもしれないと、ようやく認める気になった。
「本当はものすごく辛かったんでしょ、みーちゃん・・
でも意地だか何だかわからないけど、すました顔してた・・大丈夫だって。
なんだか不動産屋で働くことになったのって運命のイタズラだったかもね・・」
「なによ、それ」
多佳子のグラスがカラになっているのに気付き、
さっきの若い男の子にむかって手をあげる。
「だって、みーちゃんが結婚や家族ってやつを真剣に考えるきっかけを
作ってくれたようなもんじゃない?40っていう節目を前に」
ホール係の男の子は多佳子の言葉が聞こえたらしく、私の顔をチラチラ見ていた。
それに気づいた私が意地悪く微笑みながらビール2つねと注文すると、
顔を赤らめながら戻っていった。