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第10章 気になる親子

「あらぁ？家事は女の仕事だから手出しはしないんだ、とかなんとか言ってなかった？」

「もしかして、石田さんに褒めてもらいたくて話、作ってませんか？」

静江さんに続いて横山さんも鋭く切り込む。
もはや味方は誰もいなくなってしまった杉下さんは、スミマセン、と頭を下げて、

「おっしゃる通り、話、作りました」

と、素直に作り話を認めた。

どっと笑うと同時に壁掛け時計が１０時の鐘を鳴らした。

「さあ、開店しますよ。
　今日も一日がんばりましょう、よろしくお願いします」

社長の穏やかな声が一日の始まりを告げた。