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それでも・・愛してる
第10章 気になる親子
「こちらへは転勤かなにかで?」
あ、はい・・と、なんとも力ない返事。
静江さんはその様子から、なんだか訳ありだと感じ取ったのか、
余計な話はしないようにしている。
希望の間取りで希望の賃料に見合う物件のプリント3枚ほどを目の前に置かれた父親は、
黙ってそれぞれに目を通している。
それにしても・・おとなしい子だ。
歳は4歳くらいかな?お父さんの隣りでじっとしている。
足をバタつかせたり父親に話しかけたりもせず、おとなしく座っている。
「ボク、えらいね、おとなしくしていて」
私の声に顔をあげてくれたが、それ以上の反応は見せてくれない。
静江さんも続けて声をかける。
「ほんと、いい子にしてるねぇ。今日はママは?一緒じゃないの?」
その言葉に過剰に反応したのは、父親のほうだった。