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それでも・・愛してる
第14章 充実した休暇・・・あの親子と
その後は、まるで妻が主導権を握っているかのごとく、
私があれこれ注文を付けると、
男は次々と物件情報をプリントアウトして私たちの前に並べていった。
出させるだけ出させて、だがこのあと決めるのはこの父親なわけだから、
私は黙って滝川さんの反応を待つことにした。
何枚ものプリントの中から2枚を選んで私のほうに視線を向ける。
どうしようって。
滝川さんに目で合図をしてから、
「この2件がいいかなぁって思うんですけど、一応持ち帰って検討してみてもいいですか?
見たいお部屋決めたらまたお電話します。それでいいかしら?」
「はい、けっこうですよ。お電話いただければ、すぐにご案内しますから」
終始主導権を握り話を進める私のことを、まさか不動産屋のパートだと
気づくこともなく男は、滝川さんにむかってこう言った。
「しっかり者でそのうえこんな美人の奥さんもらって、ご主人幸せ者ですねぇ」
この男、いろんなことを想像しているようなやらしい目つきで滝川さんに微笑みかける。
私はカウンターの下で、滝川さんの手に合図を送る。
適当に反応しろ、と。
察した滝川さんは、はぁおかげさまで、とかなんとか
照れる演技をすることができた。