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それでも・・愛してる
第15章 充実した休暇・・家を探す
その声は天から聞こえてきた気がして、私達は手を合わせてお願いした。
どうか空きがありますように・・
祈りながら待っている私たちにもたらされたのは朗報だった。
ちょうど空きがでたばかりだ、と。
その保育園の名前と場所が書いてあるメモをもらい、何度も頭をさげた。
そこから歩いて3分ほど。
駅からだと5分ちょっとの商店街の入り口近くにあった。
私達が訪ねていくと、さっき電話で、とすぐに話が通り、
優太くんがこの保育園に通うことが決まった。
夜は9時までやっているし、給食もあるという。
これなら滝川さんも安心して預けられると、
笑いとため息が一緒になったような声を洩らした。
ここでは私は優太くんのママの姉となり、
妹は体調を崩して実家に帰っているという作り話をもっともらしく語って聞かせた。
疑うことなく園長さんは、大変ですねと滝川さんに同情の眼差しを向けた。
それから優太くんに視線をあわせて、
「優太くん、ここでいい子にしてパパの帰りを待てるかな?お友達たくさん作れるかな?」
園長さんのその声に、優太くんは思い切り体を反らせながら、
できるぅ!と叫んだ。
幼い彼を取り囲む大人たちは、それぞれ安堵の表情を見せた。