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それでも・・愛してる
第17章 充実した休暇・・今日は2人で
「え・・?だから・・って?」
今度は私が首をかしげて滝川さんを見入る。
「中学生の頃の淡い想いがあるからそこ、あれこれ考えることなく
石田さんに好きだと言ったんじゃないでしょうか」
自分のことを想い出したかのように笑みを浮かべて、
滝川さんはまたおいしそうにビールを飲む。
口のまわりに泡をつけて、私に無邪気な笑顔を向けた。
「男って、女性が思うよりずっとロマンチストなんですよ。
初恋、なんていつまでも大切な思い出だしね」
そう言ったとたん、滝川さんは顔を真っ赤にして恥ずかしさをごまかそうと髪をかき回す。
その表情に、私の心はなんだか吸い込まれそうになった。
・・こんなにも、曇りのない心を持っている男に愛されたら・・幸せだろうな・・
なんだかこのままいたら、彼を好きになりそうだ・・
自分の中で、違った揺れを感じた。
アルコールがまわって目が潤っている。
その瞳で見つめられた彼は、今度は照れることなく、
逆にこちらの気持ちを受け止めるような眼差しを差し向け、
「・・自分のことを理解してくれる、こんなに素敵な女性が妻以外にもいたんだ・・
あ、これお世辞じゃないですよ、本心です」
そう言ってから、がんばってこらえていたであろう照れ笑いを吹き出した。