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それでも・・愛してる
第18章 充実した休暇・・その愛を受け入れて
小さなテーブルの上が皿でいっぱいになっているのを見るのは久しぶりだ。
この光景が、まさか陽斗のためのものになるなんて、
ちょっと前までは想像もしていなかった。
向かい合って座る彼の湿り気を帯びた髪が、私の心をうずかせる。
「じゃあ・・いただきます」
さっそく箸をつける陽斗の反応を、手を握りしめて待つ。
どうかな・・気に入るかな・・
「お・・美味いよコレ、美味しい!」
茄子とピーマンの味噌炒めは合格だ。
次はかぼちゃとアボカドとひよこ豆のサラダ。
「いいじゃん、これも美味い!美鈴、料理上手だな。すげー感動!ますます安心した」
・・やった!よかったぁ・・
ヨシッと小さく拳を振り、お気に入りの陶器のビアマグに注いだビールを一気に飲む。
「褒められた後のビールは格別だね」
「褒めた後のビールも格別だ」
今まで嘘くさくて見向きもしなかった家族の団欒。
真似事をしてみると、その良さになんでもっと早く気付こうとしなかったのか
少々の後悔も感じる。
でもいいじゃん、今、気がついたんだから。
何事も遅いなんてこと、ないんだから・・