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それでも・・愛してる
第21章 私達の家探し
やっと・・私も陽斗も同じ灯りのもとに帰ることができる・・
その日はもうすぐ・・
陽斗のあたたかい掌が私の背中から肩へとその熱を動かしたが、
おっといけない、とすぐにその手を離した。
「不動産屋がベランダで男とイチャツイテルなんて言われたら大変だ。中入ろう」
リビングの真ん中まで戻ってから、陽斗は私を抱きしめた。
ここなら見えないだろうと私も陽斗の胸に顔をうずめた。
「今夜はお祝いだな、オレたちの愛の巣が無事決まったって」
「そうだね・・まぁ陽斗のお給料なら審査もちゃんと通ると思うけど・・多分ね」
陽斗の頬に意地悪顔を近づけると、私の頬をつねり上げてきた。
「痛ぁい!」
「オレの給料ならって、失礼な!」
無邪気な笑い声が部屋に響く。
なにも物がない部屋の中は特に反響する。
「次に笑う時はこんなに響かないんだから今のうちに・・
こうやっていつも笑ってられるような家庭にしような」
笑おうって言われたばかりなのに、私は泣いた。嬉しくって、泣いた。
「ほら、そんなに泣いたら店帰ってからみんなビックリしちゃうぞ」
そうだった、今は仕事中だった。
このうれし涙は家に帰るまで取っておかなきゃ。
「ではお店に戻りましてから賃貸契約のお申し込みをお願いします、ご主人様!」
響く笑い声を部屋に残し、
次に開ける時まで待っててね、と静かにドアを閉めた。