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それでも・・愛してる
第22章 最終章:私たちの灯り
「区役所がこの駅前にあってよかったな」
「まぁそうだけど・・これから行くの?」
なにしに?
まだピンときていない私の手を両手で包み込んで・・
「婚姻届、出しに行くんだよ」
そういうと、自分のビジネスバッグの中からクリアファイルを取り出した。
中には婚姻届が挟まっている。
私の前にひろげたそれを見ると、陽斗はすでに記入し終えていた。
「結婚の約束はすぐに取り付けたけどさ、入籍は
オレが離婚した日から1年過ぎてからしたいって、待ってもらってた。
やっとその日が来たけど今度は部屋探しでバタバタしちゃってここまできちゃった・・」
離婚して1年経ってから・・
それは陽斗の中のけじめ、みたいなものなんだろうと、
私も黙って彼の申し出を受け入れた。
というよりも、結婚する、と決まったらそれで満足してしまったかのように、
他の事に目を向けることがおろそかになっていた。
やれ結婚式だとか新婚旅行だとか、入籍、だとか。