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それでも・・愛してる
第22章 最終章:私たちの灯り
少し前までは憧れていたセレモニーも、この歳じゃもういいか、って思ったり、
新婚旅行は次のまとまった休みの時で、って簡単に考えたり。
入籍もそのうちに・・って。
「今日、引っ越しも無事終わった。2人とも明日からまた仕事にでる。
ここから始める。
美鈴に・・明日の朝、望月美鈴としてここから出かけてほしいんだよ」
ああ、なんていい男と結ばれたんだろう・・
私の顔は、だらしないほど微笑み崩れた。
はい、と手のひらを差し出してペンを催促する。
そして私が記入するべき欄に書きこんで判を押す。
・・できた、完成・・
宙にかざした婚姻届。
隅々まで見ていると、証人の記入欄にもすでに書きこんである。
よく見ると・・あ!お姉ちゃんとお義兄さんじゃない!いったい、いつ?・・
「先週お義姉さんの家に伺って、2人に書いてもらったんだ」
私はものすごく熱いため息をついた。
「どこまで用意周到なのよ。どこまで私を安心させるのよ・・」
こんなにしっかりした土台があれば、私達の家庭は壊れることなく立ち続けられる・・
「じゃあさっそく行きましょ!ほらほら、早く支度して」
簡単に化粧をして着替え、バッグの中に大切に折りたたんだ婚姻届を入れ、
うっすらとピンク色に染まった空を見上げてから、
手をつないでゆるやかな坂を下りて行った。