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それでも・・愛してる
第2章 新しく進む道・・
「ありがとうございます。そんなふうに言っていただけて、光栄ですわ」
古臭い言い回しに気づくこともなく男は、
頬もおでこも真っ赤にし髪をかき回しながら、奥へどうぞと手を差し出した。
テーブルを挟んで相対するこの男が名刺を差し出しながら、
「私、社長の松下です。よろしく」
そう言って頭を下げた。
「あらためまして、石田美鈴です。本日はよろしくお願いいたします」
面接を受ける立場なのに、余裕の笑みで社長と目を合わせると、彼は再び顔を赤らめた。
差し出した履歴書を一通り見終わった頃、
さっきのおばさんがお茶を淹れて持ってきた。
私の顔を穴が開きそうな勢いで見ているであろう視線が、目の端に入った。
「長いこと美容部員をされていたんですね。
その前は事務職、ですか?」
大学を卒業してすぐは、食品メーカーでOLをしていた。
ほんの2年くらい。
だから事務職の経験はあまりない。
やっぱり不利かな・・そう感じて少し力が抜けた。