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それでも・・愛してる
第1章 記憶・・

やっと家に帰ってきて、少しはしゃぎ気味になっていた私が、
なんとなく真相に気づいたのはご飯の時だった。

母は私たちの好きなものを作って待っていてくれた。

「あんた達の好きなハンバーグよ」

母から私たちにむけられた笑顔は、何ら変わっていない。
だが・・

父に向けるその視線のなんて冷たいこと・・
父も、その瞳には母の姿なんてこれっぽっちも映っていないと思わせるほど、冷たい。
子ども心に、お父さんとお母さんはケンカしてるのかな、そう察して
こっそりと2人を観察し始めた。


だが、時間が経つにつれ、月日が経つにつれ、
それが単なるケンカなんかじゃないってことが、子どもながらわかり始めた。

2人とも・・ぜんぜん話をしない。
おしゃべりしないのだ。
必要最低限の言葉しか交わさず、ひどい時には一言も話さない。

あの頃の・・
ただよう空気のひんやり感を、今も忘れることができない。



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