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それでも・・愛してる
第4章 一歩、踏み出す・・


慣れない仕事が時間の流れを倍の速さにしたんじゃないかと思わせるくらい、
あっという間に一週間が過ぎた。

電話の向こうの名前が聞き取れなくて何度も聞き返してしまったり、
余分な枚数のコピーがぞろぞろ出てきたり。

同じ客商売とはいえ、お客から見えない仕事のほうが緊張をさそうとは、
思ってもみなかった。

銀行へのお使いもしたことないし。
いくつもの口座から出して入れて、入れて出して。
いい歳した大人なのに、どうなってんの?って、一瞬頭の回路が止まってしまったり。

「やったことのない仕事は幾つだろうが大変よ、慣れるまでは。
 でもそうやってつまずきながら進んでいくのを見てると親しみ持てるわ。
 それに天然だし」

さすが、仕事でも人生でもベテランの静江さんはどっしりと構えていて、
ほんとうに頼りになる。
私の失敗なんて、なんてことなくカバーしてくれるし、騒ぐこともないし。
根気よく仕事を教えてくれる静江さんに、毎晩手を合わせて眠りたいくらいだ。


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