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それでも・・愛してる
第5章 陽斗からの誘い・・


7時に店が閉まると、慌ただしく片づけをして、何度も頭を下げ、
一人先に店を出る。

「あらぁ、今日はなんかいつにもましてきれいだけど・・もしかしてデート?」

「そんなんじゃないですよぉ」

ニヤッとした薄ら笑いの静江さんに、照れながら
顔の前で手を振ってごまかした。




待ち合わせ場所には陽斗が先に来ていた。

「望月くん、お待たせ」

はにかむ私を見てなにを思ったのか、陽斗はニヤニヤしながら
右から左へと私の顔をくまなく眺めまわした。

「なんか・・そんな顔で来られるとさぁ、
 オレ惚れられちゃったかなぁなんて勘違いしそうだぜ。あ、もしかして・・?」

私の頬に顔を近づける陽斗のおでこを左手で押しやりながら、

「もう!なに都合のいい解釈してんのよ?だいたい、なんでそうなるかなぁ?
 私が乙女な顔してるの、おかしいわけ?」

と小鼻を膨らませて抗議した。

「悪い悪い!冗談だよ、冗談!でも・・
 別にいいんだぜ、惚れてくれてもさ。だって・・」

だって、の先は聞かなくてもわかる。
シングルに戻るんだから、とでも言いたいのだろう。
やけに現実味のある彼の言葉に、
形の無かったものがシルエットを成してきたような、錯覚を起こした。

「さあ行こう。何食べようか?」

陽斗に背を向け彼を振り返らないまま歩き出した。



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