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それでも・・愛してる
第5章 陽斗からの誘い・・

「美鈴、どうした?」

ぼんやりと視線を送っていたガラスの向こうは、いつの間にか暗闇に変わっている。
遊園地の営業時間が終わり、クルクル明かりもすっかり消えていた。
陽斗に声をかけられるまでそれに気づかなかった。

「え?あ、ごめんごめん、ちょっとボーっとしちゃった・・飲み過ぎかなぁ」

見つめる陽斗の後ろに見えた父の顔を振り払うように、
自分の顔を手のひらで扇いだ。
探るような陽斗の眼をわざと見ないようにしていると、彼は何かを感じ取ったみたい・・

「自分の事、思い出してたんじゃない?」

ドキッとして、思わず目を合わせた。
それでも何も言わずにいると、静かに彼が話し出す。

「けっこう・・傷ついてるんだろ?美鈴も。
 ああはなりたくないだけ、なんてさらっと言ってたけど、ほんとは
 心に深く刻み込まれてるんじゃないのか?両親の離婚・・」

そんなんじゃないよ・・そんな目で見ないでよ・・

言いたかったけど、やめておいた。
そのかわりに曖昧に笑いながら首を振った。


「そろそろ帰ろうか。明日も仕事だろ?」

時計を見ると10時半過ぎ。
そうだね、と席を立った。


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