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-蜜姫-
第5章 -第四章-




「……失礼します。 雅人様。」

メイドが雅人に声をかける。




「…ああ、用意が出来ましたか?」




「はい。」





「ありがとう。 …雪乃様。


風が冷たくなってきました。
お部屋に戻りましょう。」




「……はい。」


雪乃は雅人に寄り添っていた自分が急に恥ずかしくなり、慌てて離れた。



そんな雪乃に雅人は、クスリと笑う。




「雪乃様。

この娘は 紫乃(シノ)。
先程の真由子と共に 雪乃様の身の回りのお世話をしてもらいます。

紫乃。雪乃様にご挨拶を。」




「はい。

はじめまして、雪乃様。
紫乃と申します。

どうぞ よろしくお願いします。」



赤い眼鏡を掛けた、栗色のボブカットの可愛らしいメイドが笑顔で 挨拶をする。



「あ……はい。

こちらこそ、よろしくお願いします。」



雪乃も慌てて、お辞儀する。



「あらっ

嫌ですわっ!

雪乃様、メイド相手にそんなに頭を下げないで下さいっ!」


紫乃は 慌てて雪乃に手を触れる。




「これから雪乃様にお仕えするのが、私とっても嬉しいんです。

何でも仰って下さいね?」



「……あ、ありがとうございます。」



「もぅ、雪乃様ったら。

メイドに敬語はいりませんよ?」


紫乃は ケラケラと笑う。




「……まったく。

紫乃、雪乃様にさっさと案内を………」




「はーい。」



紫乃はクスクス笑いながら、



「雪乃様、ご案内しますわ。

よろしければ………」



と、手を差し出し反射的に出した雪乃の手を優しく握り 館に入っていった。


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