この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
双眸
第2章 始

「なぜ弥栄谷が…今更…」
瑞乃は睦鬼から顔を背け吐き捨てるように呟く
「三日前、見知らぬ男がとある文を携えてこの里に来たのは知っているな?」
睦鬼は問いに頷いて応えた瑞乃を見て話を進める
「その男が携えていた文がこれだ」
睦鬼は懐から文を取り出すと瑞乃に投げて寄越し、それを開いた瑞乃は美しい字が並ぶ文章に目を走らせる
そこには両里の禍根を絶ち和睦を切に願う言葉が並んでいた
「虫酸が走る…あ奴等が私たちにした事、水に流せと言うのか…」
文を持つ瑞乃の声と手がフルフルと怒りに震える

