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双眸
第3章 悦
ゆらゆらと行燈の炎だけの頼りない明かりの中、瑞乃は睦鬼に導かれ寝所に足を踏み入れた
後ろ手に襖を閉めると布団に方膝を立て座る睦鬼の姿が瑞乃の瞳に映る
「あっ……」
その姿に瑞乃は己が大それた事をしているのに気付き、また己の姿を思い出し襖の前から一歩たりとも動けなくなる
当の睦鬼は部屋に入ってから動かなくなった気配に思考を巡らせる
睦鬼の最大の武器はその知能の高さにある
状況を瞬時に分析し理解し最も適した結論を導き出し、さらにその結論を用いて相手を己の意のままに動かす
それが睦鬼の手法であった