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双眸
第3章 悦
「俺の真意など考えたところで無駄なこと。やめておけ、瑞乃」
見透かされた瑞乃は睦鬼を見つめ首を小さく左右に振った
「何故、私なのですか…?」
本当は祝言など挙げたくない。睦鬼の側に居たいのだ――と瑞乃は言外に意味を込めたのに気付かない睦鬼ではない
睦鬼が小さくため息を吐く気配に瑞乃は怯えに肩を揺らす
怒らせてしまったのかと怯える瑞乃は萎縮するとなおさら襖の前から動けなくなってしまう
睦鬼の立ち上がる気配に瑞乃はますます萎縮する
睦鬼と言う男は普段は冷静だがその反動であるかのように怒ると烈火の如く激しい
その姿を間近で見てきた瑞乃にとって睦鬼とはこの世で怒らせてはならない相手、第二位なのだ
(余談だが、第一位は瑞乃の父らしい)