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双眸
第2章 始

「そうではありません…ただ……」
睦鬼の意地悪な言葉に瑞乃は返答に詰まる
「どこの誰か気になるか?」
お前の考えることなどお見通しだと言わんばかりに睦鬼は瑞乃に問いながら尚も愉快そうに笑っている
睦鬼は知っていた
瑞乃が睦鬼をどう思っているのか、それはただの肉親に対する情などでは無いことに
気付き知った上で瑞乃の心を揺さぶるのだ
「それは…」
唇を噛みしめ俯く瑞乃に対し睦鬼の唇は妖しく吊り上がる
俯き顔が隠れて見えなくても、長い付き合いの瑞乃がどんな表情をしているのか睦鬼には手に取るようにわかるのだ

