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第1章 その存在

そんな事情もあり私の幸福とは、

いつも主人のそれに準ずるもので、ございます。

処が私の主人というのが、

絵に描いたようなダメ男なので、ございますから……。


仮にも主人とする者を、悪しざまに言うなど、

私とて、決して気分の良いことでは、ございません。

ですが、どうかご理解いただきたいものです。


もしかしたら私は一生――

自らの役割を、果たせないのかもしれない。

そんな焦りが、この私を苦しめてゆくので、ございます。