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わたしは……
第1章 その存在
そうは申しましても私も、時には――

その存在を強くアピールするので、ございます。


例えば、視覚や聴覚、または嗅覚に反応して――

例えば、主人のよからぬ妄想に呼応して――

日々の中で、そのきっかけは様々なので、ございます。


その時の私はと、申しますものならば。

自らの全身をメキメキと強張らせ、

天に届けとばかりに、高々と頭を擡げるもので、ございます。

しかし、ながら――私めのその雄姿が、人様の目に触れる機会など、

未だ訪れることは皆無なので、ございます……。
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