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催眠玩具
第9章 美獣の檻

 そのとき、膝をさする何かの感触。

 ハッとして隣を見ると、平然とした顔で由美の質問を待ち受けながら、高城さんがテーブルに隠れて手を伸ばしていた。

 まさか……。

 そうだ。さっき、高城さんが私の後ろを通り抜けた時……。
 きっとそのとき、髪か何かが触れたのだ。

 高城さんの手がゆっくりと前後に行きつ戻りつしながら、私の太腿の内側のほうへと忍び込んで来る。

 やめて……駄目……!

 声に出して伝えられるものならそうしたい。
 だけど……。

「じゃあせっかくですから、高城さんから質問するわね。入社のきっかけから……」

 由美が質問を始める。

 高城さんの入社の話なんて、その晩私からの電話で二時間に渡って聞かされたくせに。

 ううん。今はそれどころではない。
 手……どうにかしないと……あぁっ!

 ストッキングの上からただ撫ぜられているだけなのに、まるで直接素肌に触れられているようだった。

 これはきっと少年が私にかけた催眠の効果だ。
 高城さんの事を考えると淫らになってしまう条件暗示。

 それが私の性感を鋭敏にしているのに違いない。
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