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催眠玩具
第11章 真実の愛
ここで別れて、由美は学校で少年の素姓の調査、私と高城さんは心療内科へ行き、治療と対策を講じるというのが当面の計画だった。
まずは相手を知る事、そして己を……自分たちにかけらている催眠への対策を知る事。
それが第一歩。
それから、どうやって少年を捕まえ、証拠を押さえ、警察へ突き出すのかを考える。
由美の提案は理に叶っていると思えた。
「……じゃあ高城さん。亜理紗をしっかり守ってね!」
と、茶目っ気たっぷりに言って、私だけにわかるようウィンクをし、颯爽と校舎へと向かう。由美の後ろ姿はウキウキしているようにすら思えるほどで、とても頼もしく見えた。
由美がいてくれて良かった。
たまたまの事だったけれど、もし今日、由美と取材の約束をしていなかったら私はずっと奴隷のようにあの少年の慰みものにされていたことだろう。私だけでなく、高城さんも……。
少年に誤算があったとすれば、それは由美……私の親友の存在だった。
どれほど完璧な催眠術を操れたとしても、偶然の出来事には対処できないということだ。