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催眠玩具
第12章 二律背反

 赦せない……。

 亜理紗の受けた屈辱に、身が震えそうなほどの怒りを感じる。
 社会的にだってとうてい見過ごすわけにはいかない行為だ。

 廊下を行き交う生徒たちの姿に、私は少しだけ警戒を強める。
 もしかしたらこの中にあの少年がいるかもしれない。

 別れ際、亜理紗たちに言った通り、向こうはこちらの顔を知らないとしても、万一のことだってある。できるだけ生徒とは接触しないほうがいい。

 幸い、迷うことなく職員室に辿り着くことができ、そそくさと中に入った私は、教務主任の先生を探した。

 とりあえず、計画は順調だ。


「……ははあ、ふむ。ほうほう、そうなると。うむ……はあ、まあ、いいでしょうかね」

 教務主任の初老の男性教諭が私の話に頷いて、出席簿を取りに席を立つ。
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