この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
催眠玩具
第12章 二律背反
「……さて、どうしたことでしょうな」
出席簿を調べ終えた教務主任は、もどって来るなりそう言った。
「昨日欠席の男子生徒はおらんみたいですな……女子は二名おりましたが」
「全校でですか?」
「ええ、全校生徒、全クラスに目を通しましたよ」
そういうことならばしかたない。
当てが外れたということか。
この教諭が嘘をつく理由もないので、少年が何か出席簿に細工をしているのか、似たような制服の学校が他にあるのか……。
写真を見た亜理紗の確信のある表情からすると、少年が欠席を隠ぺいしている可能性のほうが高いかもしれない。
昨日だけでなく、普段からそういうことをしているのであるなら、欠席だらけになるはずだ。確かに何らかの工作を事前にしていてもおかしくはない。
「わかりました。お手数をおかけいたしました……警察の方の見間違いかなにかかもしれないですね。わざわざありがとうございました」
「いえいえ……」