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催眠玩具
第12章 二律背反
「……こっちを向いて」
と、彼の声。そして言われるがままに振り向く私。
追いかけるでもなく悠然と、少し遠くの元の位置で私に向き合う高城。
「私に……何をしたの?」
わかっていた。
しかし、訊かずにはいられなかった。
恐怖がじわじわと私の胸の内に広がり、うそ寒い予感が心臓を締めつける。
「まだわからない? それじゃあ、これならどうかな……胸を見せて」
ああ! やはり!
その通りだ。私にはわかっていた。
これは催眠術だ。
でも、おかしいじゃない……私はいつ催眠をかけられたの?
そんな憶えは全く……。
「嫌……い、嫌……何これ……」
私の戸惑いなどとはまるで関係なく、腕が勝手に動きブラウスのボタンに指をかける。
「どうなっているの……こんなこと、したくないのに……!」
「ただ見せるだけじゃ見せたうちにはいらないからね。鑑賞に値するようにやってくれよ。わかってるだろ? 男が悦ぶようなやり方」
……なんて事を言う男なの!